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モノより、思い出。

先日、高校の同級生の友達と久々メールでやりとりをした。彼女が1月の連休にシンガポールに行った時のこと。なんと泊まったホテルには、母校の高校(公立)が修学旅行で来ていたという。今どきの修学旅行は公立でも海外か、と驚いた。女生徒たちは、ホテルのプールに『スクール水着』で入ることに凄く文句をいっていたとか(笑)。おいおいなんと贅沢な。高校の同級生みんなで一緒に海外旅行なんて、そんなゴージャスな思い出を作ってもらえるだけでもいいじゃないかと思う。私達の高校時代は、『信州にスキー旅行』でみんなもうワクワクしていたくらいなのに(笑)。そういえば、と、私たちの修学旅行でのある『出来事』を思い出した。

確か3泊4日の信州スキーツアーだった。私自身、スキーは初めてなので心躍らせていたものだ。当日は列車移動で、1クラス1車両の形で乗っていたのだが、普段男女仲がよくない自分のクラスでも、このときばかりは和気藹々としたムードが漂っていた。途中、私はふたつ奥の車両にいる別のクラスの友達のところへ遊びに行こうと思い席を立った。ひとつめの車両の扉をあけると、なぜか静まり返っている。というか、生徒がいない。え? と思って見たら、奥の座席にそのクラスの男性の担任と、数人の女生徒が座っているだけなのだ。担任は校内でも面白くて人気の世界史の先生だが、とても意気消沈した表情で窓の外を眺めている。女生徒たちも、暗い。修学旅行なのに何で? 何これ? と思いつつそのまま通路を歩き、何も聞けず友達の車両へ。やっと(?)辿り着いて友達に聞いたところによると……その前日、このクラスのほとんどの生徒が、修学旅行の『前夜祭』として飲食店で盛り上がったらしい。そこで数人が『飲酒』して騒いでしまった。それが生徒指導部にバレたらしく、即、『修学旅行』の参加を取り消され、『学校謹慎』を言い渡されたという。最初は飲酒した生徒だけだったのが、一緒に集まった生徒も責任を感じて自ら学校謹慎を申し出たそうだ。もちろん担任は、みんなで修学旅行に行けるよう出来る限りの努力はしたが、ダメだったとのこと。それであの車両はガラガラで、いつも面白い先生が本当に抜け殻のような暗い表情をしていたのだ。
なんだかやりきれない思いを抱えたまま、3泊4日を過ごしたのを覚えている。違うクラスとはいえ、きっとみんなそうだったと思う。確かに、未成年の飲酒はいけないことだけれど。みんな一緒に行きたかった。同じ楽しみを味わって、同じ思い出を作りたかった。あのときの担任の表情が、未だに目に焼きついて離れない。
 今となってはもう半分笑い話だ。それくらい時間も経っている。でも、歳を重ねた今だからこそ、もうちょっと何とかならなかったかとも思う。処分なんて、修学旅行から帰ってからいくらでもできただろう。もちろん、何度も言うが未成年の飲酒を認めているわけでもないし、彼らのやったことを肯定するわけでもない(今のほうがもっと問題になるだろう)。でも、何も一生に一度の『修学旅行』を奪わなくても。今だからこそ、そう思う。

スクール水着でシンガポールのプールなんて、これから先二度と出来ない。それこそ一生の記念、いい思い出じゃないか。普通の水着でも恥ずかしい歳になった私からは、羨ましい話だ(汗)。何より、スクール水着でも充分きれいに見える、弾けるような『若さ』がある。それは本当に『高校生』のそのときだけなのだから。